国際私法令和3年(2021年)司法試験第1問答案

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初めまして、武藤遼といいます。 まずは自己紹介をさせていただきます。 僕は今、司法試験の受験指導をしています。大学4年生の時からこの仕事をやっています。 武藤流というブランドで教えてます。僕は今25歳なので、3年近く受験指導をしていることに[…]

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2021年司法試験国際私法

答案

第1 設問1小問1について

1 本件は婚姻無効の訴えであるところ、婚姻無効の訴えは「人事訴訟」(人事訴訟法(以下、「人訴法」という。)2条1号)にあたるから、民事訴訟は適用されず(29条1項)、その管轄権の有無は3条の2以下にしたがって判断される。

2 本件は、BからA及びCに対する婚姻無効の訴えであるから、「身分関係の双方に対する訴え」(同条2号)に該当する。そして、AとCは婚姻後日本で婚姻生活を営んでいるから、「双方の住所が日本国内にあるとき」にあたる。したがって、同号の要件を満たす。

3 そして、Bは甲国に居住しているものの自ら日本の裁判所に本件訴えを提起していることからすれば日本の裁判所が審理及び裁判をしても当事者間の衡平を害しないから、本件訴えにおいて「特別の事情」(3条の5)は存在しない。

4 よって、本件訴えについて、日本の裁判所に国際裁判管轄が認められる。

第2 設問1小問2について

1 婚姻の無効及び取消しについては、法の適用に関する通則法(以下、「法」という。)に規定がない。もっとも、婚姻の無効及び取消しは婚姻の成立と表裏一体の関係にあることから、「婚姻の成立」の問題として法24条1項により準拠法を決定する。

2 同項は、婚姻の成立について、各当事者の本国を連結点としている。婚姻の成立は人の身分に関するものであるから、属人法たる本国法によって判断すべきところ、両性の平等という観点から同項は婚姻の成立について配分的連結を採用している。これを本件についてみると、Aの本国は甲国である。Cの本国は日本及び甲国であるが、法38条1項ただし書により、日本法が本国法となる。

3 婚姻の成立は婚姻の実質的成立要件と考えられるところ、実質的成立要件には一方的要件と双方的要件があり、一方的要件にはそれぞれの当事者に自らの本国法上の要件のみが適用されるが、双方的要件には両当事者の本国法が累積的に適用されることになる。ある要件が一方的要件か双方的要件であるかは国際私法上の問題であるため国際私法独自に決定されるべきと考えられるところ、国際私法上重婚の可否は双方的要件とされている。

4 そこで、A C間の婚姻が認められるか検討する。甲国民法によれば、配偶者のある者は重ねて婚姻することができず(①)、配偶者のある者が重ねてした婚姻は無効となる(②)。また、相手方であるCも甲国法の要件を満たす必要があるところ、配偶者のいない甲国人が既婚者と婚姻することも禁止されている。また、日本法においても配偶者のある者は重ねて婚姻することが禁止されている(民法732条)。

5 よって、A C間の婚姻は無効であり、Bの請求は認められる。

第3 設問1小問3について

1 A C間の婚姻が無効となったことによりDが嫡出子として扱われるかどうかは、嫡出である子の親子関係の成立の問題として法28条により決定される。

2 同条は、抵触法上の両性平等と子の嫡出子の身分取得の容易化の観点から、夫婦一方の本国法によって子の嫡出性が認められればその子を嫡出子とする選択的連結を採用している。本件ではAの本国法は甲国法、Cの本国法は日本法であるからいずれかの国の法律によりDが嫡出子と認められれば、Dは嫡出子として扱われることになる。

3 甲国民法によれば、父母の婚姻について、その無効の判決が確定する前に出生した子は、嫡出子とみなされる(③)。A C間の婚姻無効の訴えは2021年に提起され確定しているところ、Dは2017年に生まれている。そのため、甲国法に従えば、Dは嫡出子とみなされる。

4 よって、Dは嫡出子として扱われる。

第4 設問2について

1 A C間の婚姻が有効に成立するためには、その婚姻が形式的成立要件を満たしている必要がある。婚姻の形式的成立要件は、婚姻の方式の問題として法24条により判断される。

2 同条2項は、婚姻の方式について婚姻挙行地を連結点とする。その趣旨は、当事者が婚姻関係を結ぶことを挙行地において他の人に公示するためには、婚姻挙行地の方式によるのが望ましいと考えられる点にある。そして、同条3項本文は婚姻関係成立を容易にするために当事者の一方の本国法に適合する方式も有効としているが、日本において婚姻が挙行され、当事者の一方が日本人であるときは、身分関係を適切に反映させるため同項本文の適用を排除している(同項ただし書)。本件の婚姻挙行地は日本であり、またCはその時点において日本の国籍を選択しているから、同条2項により婚姻挙行地の法である日本法が準拠法となる。

3 本件では、AとCは甲国民法の規定に従って婚姻しており、日本法において有効な婚姻の届出を行っていない。

4 よって、A C間の婚姻は無効である。

以上

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