令和2年(2020年)予備試験民事実務基礎答案

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初めまして、武藤遼といいます。 まずは自己紹介をさせていただきます。 僕は今、司法試験の受験指導をしています。大学4年生の時からこの仕事をやっています。 武藤流というブランドで教えてます。僕は今25歳なので、3年近く受験指導をしていることに[…]

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2020年民事実務基礎問題

答案

第1 設問1

1 小問⑴

甲土地の所有権に基づく抵当権設定登記抹消登記請求権

2 小問⑵

被告は, 甲土地について、別紙登記目録記載の所有権移転登記の抹消登記手続をせよ。

3 小問⑶

抹消登記手続を求める訴えは、その判決の確定によって一定の意思の陳述を擬制する効力を有するところ、意思表示を命ずる判決は判決の確定によって初めて意思の陳述が擬制される(民事執行法177条1項)。したがって、抹消登記手続を求める訴えには仮執行宣言をする余地がなく、弁護士Pは同宣言の申し立てをしなかった。

4 小問⑷

①令和2年5月1日、Xに甲土地を500万円で売った

②本件抵当権設定登記が存在する

第2 設問2

1 小問⑴

⑴ 結論

抗弁として記載すべきでない。

⑵ 理由

抗弁とは、請求原因事実と両立し、請求原因の法律効果の発生を消滅、障害、阻止する事実をいう。(a)の言い分におけるYの主張は、令和2年5月1日におけるA B間の甲土地の売買契約の成立を主張するものであり、かかる売買契約の成立は請求原因事実であるA X間の売買契約の事実と両立しない事実である。そのため、Yの主張は抗弁ではなく請求原因事実の否認に当たる。したがって、抗弁として記載すべきではない。

2 小問⑵

⑴ (i)について

①甲土地について所有者をBとする所有権移転登記が存在した

②甲土地の所有者がAであることを知らなかった

⑵ (ii)について

(b)の言い分によって主張される抗弁は、登記保持権原の抗弁である。抵当権は付従性を有し、被担保債権がないと成立しないため、被担保債権の発生原因事実が主張すべき事実となる。本件の被担保債権は消費貸借契約であるところ、同契約の発生原因事実は金銭の返還の合意と金銭の交付である。そのため、(ア)の事実の主張が必要となる。

第3 設問3

1 小問⑴

Bは、令和4年12月1日に100万円を弁済しているところ、これは債務の承認にあたる。したがって、主張した抗弁は債務の承認による時効更新の抗弁(152条1項)である。

2 小問⑵

Qが再々抗弁として主張自体失当であると考えた主張は信義則による時効援用権喪失の主張である。本件では、B Y間の消費貸借契約の返済期限である令和2年12月1日に、Yが権利を行使できることを知ったといえるため、令和7年12月25日には消滅時効が既に完成していた。そうすると、Bの200万円の弁済は時効完成後の債務の承認にあたり、信義則上、消滅時効の援用を主張することができない。しかし、消滅時効の援用を主張することができないのは債務を承認したBだけであって、Xが消滅時効を援用することは信義則に反しない。したがって、Qは上記主張を主張自体失当と考えたといえる。

第4 設問4

1 本件通帳によれば、X名義の銀行口座からAの銀行口座に宛てて500万円が送金された事実が認められる。銀行口座はその名義人が使用するものと考えるのが一般的であるから、X名義の銀行口座から本件土地の売買代金と同額である500万円が売主であるAに送金されていることは、XがAから本件土地を買った事実を強く推認させる。

2 さらに、本件領収書が提出された経緯から、本件領収書はXが所持していた事実が認められる。領収書は通常支払いを行った者に対して発行されるものであり、本件領収書をXが所持していた事実は、Xが令和3年分から令和7年分までの固定資産税をXが払った事実を推認させる。そして、固定資産税は通常土地の所有者が支払うべきものとされているから、固定資産税をXが支払ったことは、XがAから本件土地を買った事実を推認させる。Bから納付書をもらって固定資産税を納付していたというXの供述は上記事実と整合している。他方、Bは、固定資産税は自分が払っていると供述するものの、税金関係は妻に任せたと主張するのみでその主張には何らの裏付けがない。そのため、Bの供述は信用性に欠ける。

3 甲土地の所有権移転登記の名義はBである。しかし、これはAが自宅を建築する目的で甲土地を購入しようとしていたところ、甲土地の付近に居住し、料亭を営んでいたBを所有名義人にした方が地元の金融機関からの融資が円滑に進むと考えてのことである。そのため、所有権移転登記の名義がBであることは、BがAから本件土地を買った事実を推認させるものではない。

4 以上を総合すれば、XがAから本件土地を買った事実が認められる。

以上

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