平成31年(令和元年・2019年)予備試験商法答案

武藤遼のプロフィール

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初めまして、武藤遼といいます。 まずは自己紹介をさせていただきます。 僕は今、司法試験の受験指導をしています。大学4年生の時からこの仕事をやっています。 武藤流というブランドで教えてます。僕は今25歳なので、3年近く受験指導をしていることに[…]

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2019年商法問題

答案

第1 設問1について

1 Dは、本件取締役会の決議を争うために、①決議事項として予定されていなかったDの取締役の解任について決議したこと、②Dが特別の利害関係を有するとして決議に参加しなかったことを主張すると考えられる。

この点について、取締役会の決議の無効事由について明文の規定はないが、法は株主総会の決議と異なり、取締役会について特別な規制を施していないから、民法の一般原則に従い原則として無効となると解する。もっとも、決議に瑕疵があったとしてもなお決議に影響が認められるべき特段の事情がある場合には例外的に有効となると解する。

2 これを本件についてみる。

⑴  ①について

本件で、Cは、取締役会の決議事項とされていないDの取締役の解任を目的とする株主総会の開催を提案している。これについて、取締役会は会社の意思決定をする場所であり、会社業務に臨機応変に対応する必要がある。そのため、取締役会では、決議事項として予定されていなかった事項についても必要であると解する。したがって、①は無効事由とはならない。

⑵ ②について

本件では、Cの提案によりDの取締役からの解任が議題とされている。取締役会における「特別の利害関係」とは、取締役の忠実義務違反をもたらすおそれのある、会社の利益と衝突する取締役の個人的利害関係をいう。そして、取締役は代表取締役と同等の権限はないものの、会社の支配・権限に大きな権限と影響力を有しており、取締役の地位から排除されることの当否が問題となる場合、その者が一切の私心を捨てて、会社に対して負担する忠実義務(会社法330条)に従い必ずしも公正に議決権を行使することは必ずしも期待し難く、かえって自己個人の利益を図って行動することすら考えられる。そこで、取締役の解任が議題となっている場合、当人は会社の利益と衝突する個人的利害関係を有するといえ、「特別の利害関係」を有する取締役にあたると解する。

そして、「特別の利害関係」を有する場合、その取締役は決議に参加することができない(369条2項)。そのため、Dは取締役会の決議に参加できないが、Dを除いたA、C、Eが決議に参加したことで、取締役の過半数が出席し、決議が行われたことになり、決議の要件を満たす(同条1項)。そのため、Dが決議に参加できなくても、決議に影響が認められなかったといえる特段の事情が存在する。したがって、②も無効事由とならない。

⑶ よって、①も②も無効事由とはならない。

3 以上から、Dの上記主張は認められない。

第2 設問2について

1 甲社「株主」であるCは、本件株主総会の決議の効力を否定するために株主総会決議取消訴訟を提起することが考えられる。本件で、Cは、取消事由として、①Aが有していた甲社株式100株を定足要件の分母に参入すれば定足要件を満たさないこと、②丙社に召集通知を発しなかったこと、③丙社の議決権を認めなかったことを主張することが考えられる。

2 そこで、これらが本件取消訴訟における取消事由となるかを検討する。

⑴ ①について

株主総会決議取消請求権は共益権であるところ、株式には自益権と共益権とが含まれ、その両方が相続により承継される。そして、社員権は一種の地位というべきであり、金銭債権と同視することはできないから、遺産分割協議がなされない場合、相続財産たる株式は相続人の準共有(民法848条)になると解する。そのため、遺産分割協議が整っていない本件では、Aが生前保有していた甲社株式100株については、Aが死亡したことにより相続人であるB、C、D及びEの共有に属することとなる。そうすると、共有状態にある株式についての権利を行使するためには権利行使者の選定・通知が必要となるが、本件ではこれを行なっていない(会社法106条1項)。また、甲社による同意もない(同項ただし書)。そのため、当該100株については議決権を行使できない株式であり、「議決権を行使することができる株主の議決権」(341条)には含まれない。そのため、①は本件訴訟の取消事由には当たらない(831条1項1号)。

⑵ ②について

次に、本件会社分割による譲渡制限株式の承継は譲渡承認を要しない「一般承継」にあたるところ(134条4号)、甲社が丙社による名義書換請求を拒否したことは名義書換の不当拒絶にあたるとして、Cは、丙社に召集通知を発しなかったことが取消事由(831条1項1号)にあたると主張することが考えられる。この点について、会社分割は、合併と異なり分割会社は存続するため、承継される権利義務の範囲は当時会社の裁量に委ねられることになる。そのため、本件会社分割により、乙社から丙社に一切の権利承継がなされたとはいえず、本件会社分割は「一般承継」に当たらない。そのため、甲社が名義書換請求を拒否したことは取消事由に当たらない。

⑶ ③について

Cは、甲社が丙社による名義書換請求を拒否したことが名義書換の不当拒絶に当たることを前提として、甲社が丙社に議決権を認めなかったことが取消事由(831条1項1号)にあたると主張することが考えられる。しかし、前述の通り甲社は名義書換請求を不当拒絶したことにならないから、これも認められない。

⑷ したがって、本件で取消事由は認められない。

3 以上から、Dの主張は認められない。

以上

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