平成27年(2015年)予備試験刑法答案

武藤遼のプロフィール

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初めまして、武藤遼といいます。 まずは自己紹介をさせていただきます。 僕は今、司法試験の受験指導をしています。大学4年生の時からこの仕事をやっています。 武藤流というブランドで教えてます。僕は今25歳なので、3年近く受験指導をしていることに[…]

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2015年刑法問題

答案

第1 丙の罪責

1 「公務員」丙が甲から公共工事受注の謝礼として50万円を受けとった行為について受託収賄罪(197条1項後段)が成立しないか。

⑴丙はB市職員で公共事業に関して業者を選定し、B市として契約を締結する職務に従事しており、B市とA社との間で契約を締結させた行為は丙の職務の範囲内の行為である。そのため、上記行為は「職務に関し」て行なわれたといえる。

⑵次に、甲が丙に50万渡した行為は、公務員である丙の職務に関する不正に対する報酬であり、「賄賂」にあたる。

⑶また、「約束」とは、贈賄者と収賄者の間で将来賄賂を授受すべきことについて合意することをいう。本件において甲の丙に対する公共工事の約束をとることができたらそのお礼として50万円渡したいという頼みに対して丙は、「分かった、なんとかしてあげよう」と承諾しており、甲丙間に賄賂の授受について合意があったといえる。したがって、丙の行為は甲との「約束」に基づくものであるといえる。

(4)そして、「請託」とは、公務員に対して職務に関し一定の職務行為を依頼することをいう。A社と契約を締結することは丙の一定の職務行為にあたり、甲はこれを依頼している。従って、丙は甲から「請託を受けた」といえる。

2 以上のことから、上記行為に受託収賄罪が成立し、丙はかかる罪責を負う。

第2 甲の罪責

1 甲が丙に渡した50万円は、上記の通り「賄賂」といえ、これを丙に渡した行為は「供与」にあたる。また、甲が丙に渡した50万円は、事前に甲が丙に公共事業の締結を依頼したお礼であり、これに対して丙は承諾しているため、「約束」に基づくものであるといえる。以上のことから上記行為に贈賄罪が成立する。

2 次に丁に封筒に入った50万円を渡した行為に業務上横領罪(253条)が成立しないか。

⑴甲はA社で総務部長として用度品購入用現金を管理していた。これは社会生活上の地位に基づいた反復継続して行われる財産上の事務といえ、「業務」にあたる。

⑵、また甲が丁に渡した50万円はA社のお金であるため、「他人の物」であるといえる。

⑶次に「横領」とは、委任の任務に背いて所有者でなければできないような行為をすることをいう。本件においては、甲はA社から用度品購入のための現金を管理するよう委託されている。そして、甲は、かかる委託の任務に背いて公共事業のお礼として丁に現金50万円を渡しており、これは所有者しかできない行為をしているといえる。したがって、甲の行為は「横領」にあたる。

(4)よって、上記行為に業務上横領罪が成立する。

3 罪数

 以上より贈賄罪と業務上横領罪が成立し、両者は併合罪(45条前段)となる。甲はかかる罪責を負う。

第3 乙の罪責

1 乙が甲に対して丙にA社と公共事業工事の契約締結を依頼している行為について贈賄罪の共謀共同正犯(60条、197条1項後段)が成立しないか。

⑴60条が自ら実行行為をしていないにもかかわらず正犯としている趣旨は、共犯者間の相互利用補充関係が認められるためであり、①共謀、②共謀に基づく実行行為、③正犯意志があれば、相互補充利用関係が認められ、共謀共同正犯が成立すると考えられる。

⑵これを本件についてみる。乙が甲に「頼んでくれ」「流用してくれ」と依頼し、甲が了承していることから甲乙間に共謀が存在し(①充足)、甲が50万円を渡すという実行行為をしている(②充足)。乙は、自らの降格を免れるためという動機で甲に計画を持ちかけており、正犯意志があるといえる(③充足)。

⑶したがって、乙に贈賄罪の共謀共同正犯が成立する。

2 次に、業務上横領罪について検討する。同罪は身分犯であるが、乙は公務員という身分を有していない。もっとも、65条2項により非身分者である乙には単純横領罪の範囲で共謀共同正犯が成立する。したがって、甲がA社に対し横領行為をしたことについて乙に単純横領罪の共謀共同正犯が成立する。

3 罪数

 よって、贈賄罪および単純横領罪の共謀共同正犯が成立し、これらは観念的競合(54条1項前段)となる。乙はかかる罪責を負う。

第4 丁の罪責

1 甲から50万円受領した行為に受託収賄罪の共同正犯が成立しないか。

 丁は賄賂を受領するという実行行為の一部を行なっているが、故意(38条1項本文)がないため、共同正犯は成立しない。

2 次に、丁の受領により丙の受託収賄罪が物理的に容易になっており、幇助犯の客観的構成要件にはあたる。しかし、丁は50万円がどういうお金か知らずに受領しており、受託収賄罪の故意があるとはいえない。よって、上記行為に受託収賄罪の幇助犯は成立しない。

3 以上より、丁は何らの罪責を負わない。

以上

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