平成27年(2015年)予備試験行政法答案

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初めまして、武藤遼といいます。 まずは自己紹介をさせていただきます。 僕は今、司法試験の受験指導をしています。大学4年生の時からこの仕事をやっています。 武藤流というブランドで教えてます。僕は今25歳なので、3年近く受験指導をしていることに[…]

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2015年行政法問題

答案

第1 設問1

1 本件指定が抗告訴訟の対象となる処分とあたるためには、本件指定が「処分」(行政事件訴訟法(以下、「行訴法」という)3条2項、3項)にあたる必要がある。そして、「処分」とは、公権力の主体たる国又は公共団体が行う行為のうち、その行為によって直接国民の権利義務を形成し若しくはその範囲を確定することが法律上認められているものをいう。

2 これを本件についてみる。

⑴本件指定は、A県知事により行われているから、公共団体の行う行為であるといえる。

⑵次に、本件指定に国民の権利義務に対する直接具体的な法的効果があるといえるか検討する。

本件指定がされている土地において、工作物を改築しようとする場合、河川管理者の許可が必要とされており(河川法(以下法と略す)26条1項)、それに違反した場合は、損害の除去及び原状回復命令等の監督処分(法75条1項1号)や、罰則(法102条2号)を受ける可能性がある。これらの事情からすれば、本件指定は直接具体的な法的効果を有するといえそうである。

 しかし、本件指定は、不特定多数者に対し河川区域内における工作物の建築等を制限するものに過ぎず、特定の者に対し具体的な法的効力を及ぼすものではない。特定の者に対する具体的な不利益は、その後の監督処分や罰則等によってもたらされるものである。そうだとすれば、本件指定は、それと同内容の制約を課する新たな法令が制定された場合のように不特定多数者に対する一般的抽象的な効果をもつに過ぎないといえ、国民の権利義務に対する直接具体的な法効果を有するとはいえない。

3 よって、本件指定に処分性は認められない。

第2 設問2

1 Cは、本件命令が信義則に反するものであり、裁量権の逸脱・濫用にあたるとして、違法(行訴法30条)であると主張することが考えられる。

2本件命令の根拠法令は法75条1項1号である。同号は、河川管理者が処分を命ずることが「できる」と規定し、その内容について複数の内容を列挙するなど処分の行為を広範囲に認めていることから、A県知事に効果裁量を認めているといえる。

もっとも、かかる裁量による処分が社会通念上著しく不当といえる場合に行政裁量の逸脱・濫用が認められ、取消訴訟における違法事由になると解する(行訴法30条)。

3 これを本件についてみる。

Cは本件コテージを改装する際、本件コテージが河川区域内にあるかどうかが不明確であったため、A県建築指導課職員のDに尋ねたところ、河川区域外にあるとの回答を得ている。この回答は、建築指導課職員のDが行なったものであるが、河川課のEの意見によるものであり、公的機関からの正式な回答といえる。そして、Cはこの回答を信頼し、本件コテージの改装を行なっている。また、本件コテージの改装は大規模なものであり、莫大な費用をかけているため、回答を信頼し改装を行なったことによるCの不利益は大きい。さらに、Cは本件コテージ建築後約14年間という長期にわたり、A県知事から河川法上の問題について指摘を受けたことはなかったことからすれば、再調査やDやEに対しさらなる確認を行うべき状況にあったとはいえず、Cに帰責性は認められない。そうだとすれば、以上のような状況にあったCに対し、本件命令を出すことは信義に反し、社会通念上著しく不当であるといえる。

4 よって、本件命令は信義則に反するというCの主張は認められる。

以上

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