平成26年(2014年)予備試験民事訴訟法答案

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初めまして、武藤遼といいます。 まずは自己紹介をさせていただきます。 僕は今、司法試験の受験指導をしています。大学4年生の時からこの仕事をやっています。 武藤流というブランドで教えてます。僕は今25歳なので、3年近く受験指導をしていることに[…]

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2014年民事訴訟法問題

答案

第1 設問1について

1 本件について、XのWに対する請求を本件訴訟の手続で併せて審理する方法として、①Wを本件訴訟の当事者として参加させる方法と②Wを第三者として本件訴訟に参加させる方法が挙げられる。

2 ①の方法について

 ⑴ まず、XのWに対する請求を共同訴訟参加(52条1項)の方法により、当事者として訴訟参加させることができないか。

ア この点について、共同訴訟参加が認められるための要件は、当事者適格を有する者で、当該訴訟の判決効が及ぶ者であることである。

イ これを本件についてみる。XのYに対する所有権に基づく建物収去土地明渡請求権についての既判力は、「当事者」(115条1項1号)であるXY間のみに生じ、当事者でないWには及ばない。そのため、Wは本件訴訟の判決効が及ぶ者でない。

ウ したがって、共同訴訟参加による方法は認められない。

⑵ そうだとしても、XのWに対する請求を併せて本件訴訟の手続で審理するよう主観的追加的併合の方法により、当事者としてWを参加させることができないか。明文なき主観的追加的併合の可否が問題となる。

ア そもそも、明文なき主観的追加的併合は、必ずしも争訟の統一的解決を図ることにつながらない。他方、訴訟の複雑化による訴訟遅延を生じさせるおそれがある。また、かかる方法を否定したとしても、別訴を提起した上、弁論の併合(152条)することにより、争訟の統一的解決を図ることは可能である。そこで、明文なき主観的追加的併合の方法は認められないと解する。

イ したがって、明文なき主観的追加的併合による方法は認められない。

⑶ よって、本件において、当事者としてWを訴訟参加させることはできない。

3 ②の方法について

⑴ 次にXはWに訴訟告知(53条1項)することにより、Wを本件訴訟の手続に補助参加(42条)として「参加することができる第三者」(53条1項)として参加させる方法が考えられる。そのため、Wに補助参加の利益があるかを検討する。「訴訟の結果について利害関係」(42条)の意義が問題となる。

ア そもそも、同条の趣旨は将来被参加人あるいは相手方との間で訴訟当事者となる可能性のある者が、既に継続している訴訟に参加する途を開くことによって紛争の合理的解決を図る点にある。かかる趣旨からすれば、単なる感情的理由や事実上の利害関係にとどまる者について、訴訟手続の複雑化を招いてまで補助参加を認めるべきではない。そこで、「利害関係を有する」とは、参加人に独自の法律上の利害関係がある場合をいう。また、判決理由中の判断は、当事者間においてさえ既判力を生じないのであるから、「訴訟の結果」とは、訴訟物に関する主文の判断に限られると解する。

イ これを本件についてみる。本件の訴訟物はXのYに対する所有権に基づく土地明渡請求権であるところ、かかる権利が認められたからといってXのWに対する請求が認められるという論理的関係にはない。そうだとすれば、判決主文との関係において、Wに独自の法律上の利害関係はないといえる。

ウ したがって、「訴訟の結果について利害関係」を有するとはいえない。

⑵ よって、Wは本件訴訟に補助参加することはできず、訴訟告知は認められない。

4 以上から、上記①②の方法を採ることはできず、XはWに対する訴訟を提起して本件訴訟との弁論の併合を申し立てるという方法を採ることができるに過ぎない。

第2 設問2について

1 ①について

⑴ この場合に、Wが当事者として訴訟に参加する方法は、YのXに対して負う乙建物収去土地明渡義務のうち、その一部である退去業務を「承継」したとして参加するものである(51条)。

 ⑵ Wの参加が認められる前にYは売買契約の締結を認める陳述をしているところ、これは裁判上の自白に当たらないか。

ア 裁判上の自白とは、口頭弁論又は弁論準備期日における相手方の主張と一致する自己に不利益な事実の陳述をいう。そして、手続の安定性、明確性の観点から訴訟の勝敗に直結する主要事実についてのみ弁論主義を及ぼせば十分であること、主要事実との関係で証拠と同様の働きをなす間接事実や補助事実について弁論主義を適用すると裁判官の自由心証を害する恐れがある。そこで、「自己に不利益」とは相手方が証明責任を負うことをいい、かかる自白の対象となる「事実」は主要事実に限られると解する。

イ これを本件についてみる。AX間で売買契約締結があるという事実は、請求原因事実であるXの甲土地所有を基礎付けるためにXが証明責任を負う主要事実である。

ウ そのため、かかる事実をYが認めることは、Xの証明責任を負う事実を認める自白として民事訴訟法上の意義を有する。

⑶ では、かかる自白がWとの関係においても効力を生じるか。

ア Wが本件訴訟に参加したことにより、必要的共同訴訟の規定が準用される(51条、47条4項、40条1項)。

イ しかし、51条は、同条による訴訟引受があったことを前提に、争訟を統一的に解決するべく47条4項、40条1項の規定を準用するものであり、引受け前にされた行為の効果について準用する趣旨でない。そのため、Wの参加前になされた自白の効果はYのみに生じ、Wに対しては生じない。

2 ②について

Wが参加した後は、Yの陳述は「全員の利益」のためにおいてのみ効力を生じることになる(51条、47条4項、40条1項)。そして、Yの上記自白を認めることはWにとって不利益であるから、「全員の利益」のためとはいえず、効力を生じない(同条2項)。よって、Yの陳述はW、Yの両者の関係で裁判上の自白としての意義は生じない。

3 ③について

引受け決定後については、②と同様に統一的に解決する必要があり、WYともに自白としての意義は生じない。

以上 

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