平成26年(2014年)予備試験民事実務基礎答案

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初めまして、武藤遼といいます。 まずは自己紹介をさせていただきます。 僕は今、司法試験の受験指導をしています。大学4年生の時からこの仕事をやっています。 武藤流というブランドで教えてます。僕は今25歳なので、3年近く受験指導をしていることに[…]

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2014年民事実務基礎問題

答案

第1 設問1について

1 小問⑴について

被告は、原告に対し、甲土地について、平成15年12月1日贈与を原因とする所有権  移転登記手続をせよ。

2 小問⑵について

本件において、Pは贈与契約に基づく所有権移転登記請求権を訴訟物として所有権移  転登記を求める訴えを提起している。本件訴訟における訴訟物はXY間の贈与契約を原因とする債権的登記請求権である。そして、債権的登記請求権が訴訟物とされた場合の請求原因事実は、登記に関する当事者間の債権債務関係の発生を基礎付ける事実のみである。本件のXY間の登記に関する債権債務関係の発生を基礎付ける事実は、「Yは、Xに対し、平成15年12月1日、甲土地を贈与した。」という事実である。したがって、Pが請求原因事実として主張すべき事実は上記事実のみで足りる。

第2 設問2について

1 小問⑴について

⑴ アに入る具体的事実

Xは、平成25年12月1日、甲土地を占有していた。

⑵ イに入る具体的事実

甲土地について、Y名義の所有権移転登記が存在する。

2 小問⑵について

 ⑴ 時効取得に基づく所有権移転登記手続請求が認められるための要件は、ⅰ 所有の意思をもって、ⅱ 平穏かつ公然と、ⅲ 目的物を10年間占有すること、ⅳ 占有開始時に善意であったこと、ⅴ 善意であったことについて無過失であること(民法162条2項)、ⅵ 時効援用の意思表示をしたこと(145条)、ⅶ 被告名義の所有権登記が存在していることである。162条2項は「他人の物」の占有を要件としているが、時効所得の対象物は自己物でもよいと考えられるから、これは要件とならない。

これらのうち、ⅰ、ⅱ、ⅳについては、186条1項により推定されるため請求原因事実として主張する必要はない。そのため請求原因事実として主張すべき事実は、ⅲ、ⅴ、ⅵ、ⅶに該当する事実である。なお、前後両時点における占有の事実があれば、占有はその間継続したものと推定されるから(186条2項)、ⅲに該当する事実としては、ある時点における目的物占有の事実と10年後における目的物占有の事実を主張すれば足りる。また、ⅴは規範的要件であるから、その評価根拠事実を主張する必要がある。

 ⑵ これを本件についてみる。本件の①、②の事実は上記ⅲに該当する。また、③の事実はⅴの評価根拠事実である。さらに、④、⑤の事実はそれぞれⅵ、ⅶに該当する事実で   ある。

⑶ したがって、Pが請求原因事実として①から⑤の事実を主張する必要があり、かつ、これで足りる。

3 小問⑶について

⑴ 結論

適切でない。

⑵ 理由

162条2項の無過失の判断時期は占有の開始時である。そのため、占有開始後の事実は無過失の評価根拠事実ならないから、無過失の評価根拠事実として、「Xは平成16年から・・・支払っている」という、甲土地占有開始日である平成15年12月1日以降の事実を主張することは不適切である。

第3 設問3について

Qは、時効取得に基づく所有権移転登記請求における請求原因に対する抗弁として、Xの甲土地の占有は、使用貸借契約(593条)に基づくものであるから、「所有の意思をもって」継続されたものとはいえず取得時効は成立しないとの他主占有権原の抗弁を主張することになると考えられる。

第4 設問4について

1 Xに有利な事実への反論

Xは甲土地の登記済証を保管している。これは、旧建物を取り壊す際に、Xに保管を依頼したものにすぎず、Xとの贈与契約を推認させるものではない。

Xは、平成16年以降の甲土地の固定資産税等の税金を支払っている。これは、XがYの生活の面倒を見る中での一環として支払ったものであって、YがXに甲土地を贈与したことを理由とするものではない。

Xは、Yと同居する新建物の建築費用3000万円を全額負担している。これは、甲土地を無償で借りることへの見返りであって、甲土地の贈与を受けた見返りではない。

2 Yに有利な事実

土地は高価であるから、その贈与には書面を作成するのが通常である。しかし、本件において贈与契約を締結したことを示す書面は存在しない。

高価な不動産の贈与があった場合、速やかに所有権移転登記がなされるのが通常であ  る。しかし、本件においてはこれがなされていない。

新建物は二世帯住宅である。これはYの要望に沿ったものであり、このような建物をXに贈与するはずがない。

3 以上より、Yが甲土地をXに贈与したという事実はない。

第5 設問5について

まず、依頼者たるYの利益に大きく影響する和解及び和解成立後の登記手続に際し、Aにのみ意思確認を行い、Y本人に意思確認をしなかった点については、弁護士職務基本規程(以下「規程」という。)22条1項に反するという問題がある。

次に、受領した1500万円からYの同意なく成功報酬を差し引いた点については、規程45条に反するという問題がある。さらに、受領した1500万円から成功報酬を差し引いた残額について、Y本人に返還せず、A名義の銀行口座に送金した点についても、規程45条に反するという問題がある。

以上 

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