平成26年(2014年)予備試験憲法答案

武藤遼のプロフィール

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初めまして、武藤遼といいます。 まずは自己紹介をさせていただきます。 僕は今、司法試験の受験指導をしています。大学4年生の時からこの仕事をやっています。 武藤流というブランドで教えてます。僕は今25歳なので、3年近く受験指導をしていることに[…]

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2014年予備試験憲法

答案

第1 設問1について

1 私がC社の訴訟代理人であった場合、本条例は、C社の商店会に加入しない自由(以下、「本件自由」とする。)を侵害し、憲法21条1項に反し違憲であると主張する。

2 まず、商店会は、商店街の活性化のため当該商店街に店舗を営む個人または法人を会員として組織されているものであるから、「結社」に当たる。そして、本件自由は、この結社に参加しないことを内容とする自由であるから、消極的結社の自由の一内容として、21条1項により保障される。

3 そして、本条例はA市内の全ての店舗に対して、最寄りの商店会への加入を義務づけるものであるから、本条例により本件自由は制約されている。

4 どのような組織に加入しまたは加入しないかを選択できることは、団体が自律的に意思決定し団体としての個性を実現するために重要である。また、営業停止という会社の活動の一切を一時的に不能とされた場合、その不利益は重大である。そこで、上記制約は、必要最小限度の制約であるといえる場合にのみ正当化される。

5 これを本件についてみる。商業活動の活性化という目的は、各店が自助努力により達成されるべきものであり、上記目的との関係で強制加入を義務付ける必要性はない。

また、地域における防犯という目的は、地方公共団体の活動により達成されるべき行政上の要請であるから、商店会への強制加入という手段によるべきではない。

したがって、必要最小限度の制約とはいえない。

6 よって、本条例は21条1項に反する。

第2 設問2について

1 想定される反論

⑴ 結社の自由は組織された結社の活動を保障した規定であり、結社に加入しないという消極的な自由を保障したものではない。そうだとすれば、本件自由は営業の自由(22条1項参照)の一内容として保障されるにすぎない。

⑵ その上、加入が強制されても、会員の経済活動に大きな支障を与えるものではなく、制約の程度も緩やかといえることからすれば、相当程度の制約が許容されるべきである。

⑶ これを本件についてみる。商業活動の活性化や防犯強化は、一部の店舗によって達成されるものではなく、大型店を含む地域周辺の店舗全体の協力によってのみ達成されるものである。また、C社は商店会の街路灯やネオンサイン等によって立地上の恩恵を受けていることを考慮すれば、商店会への加入によって商店街活性化への貢献が期待されるべきである。よって相当程度の制約といえ、合憲である。

2 私見

⑴ まず、21条1項が結社の自由を保障していることからすれば、その反射的効果として特定の結社に加入しない消極的結社の自由も同項によって保障されるべきである。そのため、消極的結社の自由も同項によって保障される。したがって、本件自由は消極的結社の自由の一内容として憲法上保障される。

⑵ そして、原告主張の通り本条例は本件自由を侵害する。

⑶ 本件自由は、原告主張のとおり自己実現としての価値を有するものの、本件では商店会への加入という経済活動との関係で問題となるものであり、政治的意思決定を目的とする結社に関する問題に比べれば、その重要性は劣る。また、本条例は商店会への加入を義務付けるものであって、会員の活動に大きな支障をもたらすような強度の規制とは言いがたい。そこで、本条例は①目的が重要であり、②手段が目的との関係で効果的で過度でない場合に合憲であるといえる。

⑷ これを本件についてみる。商業活動の活性化という目的は、地域の活性化を促し周辺住民の利便向上につながるものであるから重要であるといえる。また、地域における防犯という目的も周辺住民の安全な生活を確保するために重要であるといえる(①充足)。

そして、確かに、加入を強制することで店舗間の協力が容易になり、集客力の向上ひいては商店街の活性化につながるから、加入を義務付けることに一定の合理性はあるといえる。しかし、商店会に全店舗が加入しなければ商店街の活性化が達成されないというわけではなく、加入を望まない店舗に対して加入を強制させるのは手段として過度である。

次に、防犯強化という目的に関しては、商店会の会費を防犯灯の設置等に使うことで夜間の窃盗などといった犯罪を未然に防ぐことができる点で、加入を義務付けることに一定の合理性がある。しかし、地域の防犯は行政側の施策によって解決されるべき問題であり、利潤追求を目的とする個人または法人に対して加入を義務付けることで解決されるべき問題ではない。

したがって、上記制約手段は目的達成との関係で効果的で過度であるとはいえない(②不充足)。

⑸ 以上より、本条例は21条1項に反し、違憲である。

以上 

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