平成23年(2011年)予備試験商法答案

武藤遼のプロフィール

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初めまして、武藤遼といいます。 まずは自己紹介をさせていただきます。 僕は今、司法試験の受験指導をしています。大学4年生の時からこの仕事をやっています。 武藤流というブランドで教えてます。僕は今25歳なので、3年近く受験指導をしていることに[…]

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2011年商法問題

答案

第1 設問1について

1 取締役会を招集する者は、各取締役に対し召集通知を発する必要があるところ(368条1項)、本件譲渡等承認請求にかかるY社取締役会の決議(以下「本件決議」という。)を行うにあたり、Aは、取締役Bに対し招集通知が発せられていない。そこで、かかる手続上の瑕疵を理由として本件決議は無効とならないか。

⑴ この点について、取締役会決議の無効事由につき明文はない。そこで、法の一般原則により、手続上の瑕疵がある場合には無効となると解する。もっとも、決議の結果に影響がないといえる特段の事情がある場合には、例外的に無効とならないと解する。

⑵ これを本件についてみる。Bは、本件譲渡の譲渡人であり、本件譲渡によって利益を受ける立場にあった。そのため、Bは、取締役の忠実義務(355条)違反をもたらすおそれのある、会社の利益と衝突する個人的利害関係を有していたといえ、「特別の利害関係を有する取締役」(369条2項)に当たり、本件決議で議決権を行使できなかった。特別利害取締役に該当する場合、他の取締役の審議判断に影響を与え決議の公正を害することを防ぐという同項の趣旨を貫徹するため、特別利害関係係取締役は会議への出席も禁じられると解される。そうすると、Bは本件譲渡等承認請求に関わる取締役会に出席し得なかったわけだから、召集通知を発しなかったことにつき特段の事情があるといえる。

⑶ したがって、本件決議は有効である。

第2 設問2について

1 X社は、株主総会決議取消訴訟(831条1項1号)を提起して、Y社定時株主総会の決議(以下「本件総会決議」という。) の効力を争うと考えられる。かかる訴訟を提起できるのは「株主等」(同項柱書、828条1項柱書)に限られところ、X社は「株主等」に当たるか。

⑴ Y社は非公開会社(会社法2条5号参照)であるため、BがX社に株式を譲渡(以下「本件譲渡」という。)するには取締役会の承認(139条1項)が必要である。譲受人であるX社はBから譲渡等承認請求(137条1項)について委任を受けているため、それについて代理権を有する。そのため、共同申請(同条2項)の要件を満たす。

本件決議において本件譲渡は承認されず、前述の通り本件決議は有効であったものの、Y社は譲渡承認請求をしたX社に対し、請求から2週間以内に本件決議の内容を通知(139条2項)していない。そのため、Y社は、本件譲渡を承認したものとみなされ(145条1号)、本件譲渡はY社との関係で有効となる。

⑵ もっとも、株式譲渡の会社対抗要件は名義書換(130条1項)であるところ、X社は、名義書換(130条1条)を拒絶されている。そのため、X社は自己が株主であることをY社に対抗できず、「株主等」に当たらないのではないか。

ア この点について、株主名簿制度の趣旨は会社がきちんと名義書換に応ずるという前提の上で、会社と株主との間の集団的法律関係を画一的に処理する会社の便宜のための制度であるところ、正当な理由なく会社が名義書換を拒否した場合に、株主の犠牲においてその権利行使を拒むことは信義則(民法1条2項)上許されない。そこで、名義書換が不当拒絶された場合、譲受人は名義書換未了であっても株主であることを会社に対抗できると解する。

イ これを本件についてみる。X社は譲渡人Bから名義書換請求の委任を受け、それについて代理権を有するから、共同申請の要件(会社法133条2項)を満たしている。そのため、X社の名義書換請求は適法であり、Y社が請求を拒絶したことは不当拒絶にあたる。

ウ  したがって、X社は自己が株主であることをY社に対抗できるから、「株主等」に当たる。

2 そうすると、Y社はX社に株主総会招集通知(299条1項)を発すべきであったところ、これを発しておらず、「招集の手続……が法令……に違反」(831条1号)している。また、招集通知は議決行使を実質化する重要な手続であるから、「違反する事実が重大」であり、裁量棄却(同条2項)は認められない。

3 よって、X社は、本件決議の日から、「3箇月以内」(同条1項柱書)に上記訴訟を提起して、本件総会決議の効力を争うことができる。

第3 設問3について

1 X社は、本件総会決議の取消訴訟を提起して、その効力を争うことが考えられるところ、そのためにはX社が「株主等」に当たる必要がある。本件譲渡に係るY社株式400株に関し、Bは、X社への譲渡の後にこれをAにも譲渡しているところ、Y社はこれを承認しかつ名義書換も行われている。そうすると、当該株式について二重譲渡がなされ、AもY社に対し譲渡を対抗できることになる。

⑴ この点について、会社が名義書換を不当に拒絶した譲受人の株主たる地位を否定することは信義則に反するとしても、第三者がこれを否定したからといって必ずしも信義則に反するわけではなく、第三者の利益を保護する必要性がある。他方、名義書換を不当に拒絶された譲受人についても同様に保護の必要性がある。そこで、譲受人と第三者の保護の調和の観点から、譲受人は、第三者が不当拒絶を知っていた場合には、当該第三者に対し、名義書換をすることなく株式取得を対抗できると解する。

⑵ これを本件についてみる。AはY社の代表取締役であるから、不当拒絶がなされたことを知っていたといえる。

⑶ そのため、X社は名義書換なしに本件譲渡をAに対抗でき、「株主等」に当たる。

2 そうすると、株主であるX社に対する招集通知を欠いたことは総会決議の取消事由となる。これについて裁量棄却が認められないことは前述の通りである。

3 よって、X社は、本件決議の日から「3箇月以内」に本件総会決議の取消訴訟を提起して本件総会決議の効力を争うことができる。

以上

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