平成23年(2011年)予備試験民事実務基礎答案

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初めまして、武藤遼といいます。 まずは自己紹介をさせていただきます。 僕は今、司法試験の受験指導をしています。大学4年生の時からこの仕事をやっています。 武藤流というブランドで教えてます。僕は今25歳なので、3年近く受験指導をしていることに[…]

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2011年民事実務基礎問題

答案

第1 設問1について

1 債権の譲受人が債務者に対して債務の履行を請求するためには、請求原因事実とし   て、ⓐ譲受債権の発生原因事実、ⓑ譲受債権の取得原因事実をそれぞれ主張する必要がある。

⑴ まず、ⓐについて、本件における譲受債権は要物契約としての消費貸借契約に基づく貸金返還請求権である。同請求権の成立要件として、民法587条より㋐金銭の返還の合意をしたこと、㋑金銭を交付したことの主張が必要となる。また、消費貸借契約は一定期間その目的物を借主に利用させることを目的とするから、その返還を請求するためには契約が終了したことも主張する必要がある。契約に返還時期の定めがある場合は、㋒返還時期の合意をしたこと、㋓返還時期の到来を主張する必要がある。

本件では、㋐㋑㋒の事実が①の事実によって主張され、㋓の事実は③によって主張されている。

⑵ また、ⓑについて、債権譲渡につき債権の移転自体を目的とする準物権行為の独自性は否定すべきであるから、債権移転の原因行為に当たる事実を主張すれば足りる。

本件では、AからXへの債権移転の原因行為に該当する事実は②によって主張されている。

2 よって、請求を理由づける事実としては、①②③の事実の主張が必要であり、かつ、これで足りる。

第2 設問2について

1 結論

主張すべき事実に違いがある

2 理由

甲説に基づく場合、時効援用の意思表示があって初めて時効による債権消滅の効果が発生する。そのため、①時効期間の経過の事実の主張に加えて②時効援用の意思表示をしたことについても主張が必要になる。これに対して、乙説に基づく場合、時効完成の時点で当然に債権消滅の効果が発生することから、②の主張は不要となる。

本件では、甲説に基づく場合のみ、②に該当する事実として、YがXに対し、平成23  年2月21日、時効を援用したことを主張する必要がある。

したがって、甲説に基づく場合と乙説に基づく場合とで、主張すべき事実に違いが生じることになる。

第3 設問3について

1 事実①について

⑴ この事実は、XがYに対して時効完成前に催告(民法150条1項)を行ったことを意味するものである。しかし、仮にXがYに対して催告を行なっていたとしても、すでにその時点から6ヶ月が経過しており、時効の完成に影響はない。そのため、この事実の主張は時効の完成猶予の再抗弁としての意味を持たず、訴訟の結論に影響を及ぼさない。

⑵ よって、事実①を立証対象として、証拠調べをする必要はない。

2 事実②について

⑴ この事実は、YがXに対して時効完成後に債務を承認したことを意味するものである。そして、消滅時効完成後に債務の承認をした場合、債務者がその時効を援用することは信義則上許されない。したがって、この事実の主張は時効援用権の喪失の再抗弁としての意味を持つ。

⑵ よって、事実②を立証対象として、証拠調べをする必要がある。

第4 設問4について

1 私文書については、本人の意思に基づく押印がある場合、当該文書が本人の意思に基づいて作成されたことが推定される(民事訴訟法228条4項)。

そして、我が国では印章は通常慎重に管理されており、第三者が容易に押印すること  はできないという経験則があるため、本人の印章によって顕出された印影がある場合に  は、押印が本人の意思に基づくことが事実上推定される。これと同項による推定とを併  せれば、上記の印影がある場合には、文書の成立の真正が推定されることになる(二段の推定)。

2 本件において、領収証にあるA名義の印影がAの印章によって顕出されたとすれば、領収証に上記事実上の推定が働くことになる。すなわち、この事実をQが争わない場合には立証責任が転換され、本件の押印が本人の意思に基づかないことをPが立証する必要がある。

3 以上から、裁判官Jは、事実上の推定が働くことについてPが争う意志を有するかを明らかにするため、本件質問をしたといえる。

第5 設問5について

1 本件では、「弁護士」Pの「相手方」Yに、弁護士Qという「法令上の資格を有する  代理人が選任され」ているので、Pが「直接」Yに電話をかけて和解の「交渉」をすることは、Qの「承諾」を得なければ行えないのが原則である(弁護士職務基本規程52条)。

2 もっとも、「正当な理由」(同条)がある場合は、例外的に相手方との直接交渉も許される。

これを本件についてみる。本件では、Qは海外出張により2週間不在であり、電話も通じないという事情がある。しかし、Pが和解案を提示する次回期日は1か月後であって、Yと直接交渉する緊急性・必要性は認められない。また、Pの提示する和解案の内容によっては直接交渉によってYに不利益を与えるおそれが認められる。

したがって、「正当な理由」があるとはいえない。

3 よって、Pの行為は同条に反するという弁護士倫理上の問題がある。

以上

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