平成23年(2011年)予備試験憲法答案

武藤遼のプロフィール

プロフィール

初めまして、武藤遼といいます。 まずは自己紹介をさせていただきます。 僕は今、司法試験の受験指導をしています。大学4年生の時からこの仕事をやっています。 武藤流というブランドで教えてます。僕は今25歳なので、3年近く受験指導をしていることに[…]

問題はこちら

2011年憲法問題

答案

第1 設問1について

1 私がBの質問を受けた弁護士であった場合、Bに対する入学不許可処分の取り消し訴訟(行政事件訴訟法3条2項)及び入学許可処分の義務付け訴訟(同条6項1号)を提起する。

2 A大学法科大学院(以下「A大学院」という。)の入学選抜制度のうち、181位以下の20名に関して女性のみを成績順に合格させるという部分(以下「本件部分」という。)は、受験生を性別によって差別するものであり、憲法14条1項に反し違憲である。

⑴ まず、法内容が不平等なら、その適用の結果は不平等となるから、「法の下」の平等とは、法適用の平等のみならず法内容の平等をも意味する。次に、各人には事実上の差があるから、「平等」とは合理的区別を許容する相対的平等をいうと解する。

⑵ そして、性別による区別は、民主主義の理念に照らし不合理とされる同項後段の列挙事由による区別である。また、大学に入学し講義を受ける権利は学生の学問の自由(23条)と密接に関わる重要な権利である。そこで、本件部分が必要最小限度の制約といえる場合のみ許されると考える。

⑶ これを本件についてみる。本件部分の目的は女性優遇による法曹の多様性確保にあるところ、参考資料によれば過去20年の間に法曹における女性の割合は増加傾向にあり、今後も増加が見込まれる。そうだとすれば、入試制度によって優遇せずとも法曹の多様性確保という目的は十分に達成できる。また、上記目的のためには、女性にはあらかじめ一定の点数を加算するという手段でも十分であり、女性のみを合格させるという措置を取る必要はない。したがって、必要最小限度の手段であるとはいえない。

⑷ よって、本件部分は14条1項に反し、違憲である。

第2 設問2について

1 対立点

⑴ A大学院としては、本件部分は積極的差別是正措置にあたり、相当制度の制限が許されると主張することが考えられる。

⑵ 次に、A大学院側としては、過去20年の法曹における女性の割合は増加してはいるものの緩やかな増加にとどまっており、その一層の増加のためにはさらなる施策が必要であること、女性にあらかじめ加点をするという手段では一定数の女性入学者を確保できるか不明確であるから、本件部分のような手段をとることはやむを得ないことを理由に、本件部分は合理的な区別であると主張することが考えられる。

2 自身の見解

⑴ 「法の下の平等」が法適用のみならず法内容の平等をも意味し、「平等」が合理的区分を許容する相対的平等を意味することは、原告主張のとおりである。

⑵ では、本件部分は合理的な区別といえるか。

ア この点について、性別は自らの意思や努力によっては変えることのできない事柄であり、性別による区別は民主主義の理念に照らし原則として不合理とされる後段列挙事由に基づく区別である。また、入学後にA大学院で講義を受ける権利は学問の自由(23条)の一内容として重要な権利である。

他方で、本件部分は、以前より法曹に占める割合が低かった女性を優遇するものであるから、積極的差別是正措置としての性質を持ち、実質的平等の要請に適うものである。そこで、本件部分が合理的な逆差別かは、①目的が重要であり、②手段が目的との関係で効果的で過度でないかによって判断すべきである。

イ これを本件についてみる。まず、本件部分の目的は、法曹における多様性確保にあるところ、多様なバックグラウンドを持つ法曹が増えれば依頼者たる国民もより適切な法的サービスを受けることが期待できる。そのため、上記目的は重要といえる(①充足)。

次に、A大学法学部において女子学生が占める割合は約40パーセントと高く、本件部分があることによって、A大学院に進む女性が増えることが期待できる。さらに、女性法曹が増えれば、男性が多くを占めている現状の法曹界にさらなる多様性がもたらされる可能性がある。そのため、本件部分は上記目的達成のため効果的であるといえる。

そして、確かに、参考資料によると、2004年時点において、法曹に占める女性の割合は未だ10パーセント程度にとどまっており、A大学院の受験生男女比も、2対1と女性の割合が低い。しかし、1985年から2004年までの間に法曹人口に占める女性の割合が3倍以上になっていることからすれば、本件部分がなくても女性法曹の自然な増加が期待でき、あえて本件部分により女性法曹の増加を図る必要性はない。また、あらかじめ一定の点数を加算するという手段であっても十分な優遇になるのであり、より適切な形での法曹の多様化を実現することが可能である。そのため、本件部分は目的達成のためには過度な手段であるといえる。

したがって、本件部分の手段は、上記目的との関係で効果的で過度でないとはいえない(②不充足)。

⑶ よって、本件部分は、不合理な区別として14条1項に反し違憲である。

以上

メルマガやってます

司法試験、予備試験合格のために
さらに詳しい情報が知りたい方はメールマガジンに登録してください。
もちろん無料です。
メルマガでは、
より具体的な話をしております。

無料なので、
興味がある方は
ぜひご登録ください。

大好評いただいていて、
メールマガジンでしか流さない話もよくしてますし、
メルマガ限定企画も流しますし、
ここまで読んでいただいた方は、
登録して損することはないかと思われます。

下記から登録できます。
武藤遼のメールマガジンはこちら