平成31年(令和元年・2019年)予備試験民事実務基礎答案
武藤遼のプロフィール
初めまして、武藤遼といいます。 まずは自己紹介をさせていただきます。 僕は今、司法試験の受験指導をしています。大学4年生の時からこの仕事をやっています。 武藤流というブランドで教えてます。僕は今25歳なので、3年近く受験指導をしていることに[…]
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答案
第1 設問1
1 小問⑴
AY間の保証契約に基づく保証債務履行請求権
2 小問⑵
Yは、Xに対し、200万円及びこれに対する平成30年6月16日から支払済みまで年10%の割合による金員を支払え。
3 小問⑶
①上記(あ)の債務を保証するとの意思表示をした
②前項の意思表示
③本件保証書
④Xは、Aから本件貸付債権を200万円で買い受けた。
4 小問⑷
債務名義である確定判決(民事執行法22条1号)への執行文付与(同26条)の手続を経て、甲土地の強制競売手続開始(同45条)の申立て(同2条)をすべきである。
第2 設問2
1 小問⑴
⑴ 記載する抗弁
譲渡制限特約の抗弁
⑵ 抗弁となる理由
抗弁とは、請求原因事実と両立し、請求原因の法律効果の発生を消滅、障害、阻止する事実をいう。債権譲渡につき譲渡制限特約がなされたとの主張は、債権譲渡がなされた事実と両立する事実であり、譲渡制限特約の主張が認められることによって、債権を譲り受けた者は、債務者に対して当該債権に基づく請求ができなくなるから譲渡制限特約の主張は請求原因の法律効果の発生を障害する効果を有する。したがって、譲渡制限特約の主張は抗弁として機能する。
2 小問⑵
Bは、乙絵画を所有していた。
3 小問⑶
⑴ 結論
必要である。
⑵ 理由
Yの相談内容(c)に基づく抗弁は代物弁済の抗弁である。代物弁済は、債務の弁済に代えて債務者所有の物の所有権を移転することによって債務を消滅させる行為であるところ、債務の消滅原因として同事実を主張する場合には成立要件として対抗要件の具備が要求されているからである。
第3 設問3
1 結論
主張するべきではない。
2 理由
債権譲渡の請求原因に対しては、通知・承諾(467条1項)があるまでは原告を債権者と認めない旨の権利主張が阻止の抗弁となり、通知・承諾があったとの主張は再抗弁となる。Qが主張する抗弁として、Bについて通知・承諾があるまではXを債権者と認めない旨の権利主張が考えられるところ、YはAからBに対して通知があったことを争っていない。主債務に随伴する保証債務の移転については、通知・承諾は主債務者についてされれば足りる。そのため、Yに対する譲渡通知があるまではXを債権者と認めない旨のYの言い分は、主張自体失当であり、抗弁を構成しない。
第4 設問4
1 結論
本件保証契約の締結については、本件借用証書が直接証拠となり、その成立の真正が認められれば同契約の成立が認定される。本件では、本件借用証書の成立の真正が争われているが、以下の通りその成立の真正が認められる。
2 成立の真正について
⑴ 第1回口頭弁論期日においてQは、Y名下の印影がYの印章によることを認めている。そうすると、特段の事情のない限り、Yの意思に基づく押印がなされたことが推定され、本件借用証書が真正に成立したものと推定されることとなる(民事訴訟法228条4項)。
⑵ Yは、平成29年8月中旬頃に 突然BがYの自宅に泊まりに来て2日間滞在したとの事実から、その際、本件借用証書をあらかじめ準備していたBが同証書の連帯保証人欄にYの印鑑を勝手に押したと主張する。そして、YとBは1歳違いのいとこであり家族のように仲良くしていたこと、Yは印鑑を含む大事なものを寝室にあるタンスの一番上の引き出しにしまっていたこと、Yの印鑑はフルネームであったとの事実から、BはYの印鑑を容易に見つけることができたであろうと主張する。
しかし、そもそもBがYの自宅に2日滞在したかどうかも不確実な事実であり、仮にBが滞在したとしてもBが印鑑の場所を知っていたかは明らかでなく、2日間の間に印鑑を簡単に発見することができるとは考え難い。
⑶ また、Yは、自身が勤務する会社の業績が芳しくなく、ボーナスの額も減り、さしたる貯蓄もないという事実から、保証をするはずがない旨主張する。しかし、いとこであり仲の良かったBからの頼みであれば、たとえ貯蓄がなかったとしてもYが保証をすることは十分考えられる。
⑷ そして、Aは、Yの保証意思を確認するため、平成29年8月下旬、Yの自宅の確認のための電話をしたところ、Y本人とは話をすることはできなかったものの、電話に出たYの母親に保証契約の件について説明したら、『Yからそのような話を受けた』との返答を受けた旨供述している。AとYの母親は面識がなく、Yの母親がAに嘘をつくことは考え難いから、Yの母親がそのように発言したということはYが保証意思を有していたことを強く推認させる。
⑸ これらの検討からすれば、Yの主張には信用性がないといえ、Bが盗用したと認めるべき特段の事情は存在しない。
3 以上から、本件借用証書は真正に成立したものといえるから、本件保証契約が締結された事実が認められる。
以上
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