平成25年(2013年)予備試験民事訴訟法答案

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初めまして、武藤遼といいます。 まずは自己紹介をさせていただきます。 僕は今、司法試験の受験指導をしています。大学4年生の時からこの仕事をやっています。 武藤流というブランドで教えてます。僕は今25歳なので、3年近く受験指導をしていることに[…]

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2013年民事訴訟法問題

答案

第1 設問1⑴について

1 アについて

Bは、Aに対して甲債権の不存在確認請求、Cに対して乙債権に基づく500万円の支払請求を立てて、独立当事者参加(権利主張参加、47条1項後段)をするという手段を採ることはできないか。

⑴ まず、Bが独立当事者参加をするためには、Bに当事者適格が認められる必要がある

ア この点について、債権者が適法に代位権行使に着手し、債務者に対する通知又は債務者の了知があれば、債務者は代位の目的となった権利につき管理処分権を失い、これにより当事者適格を失うことになる。しかし、このように当事者適格を失うのは、被保全債権が存在し、債権者代位訴訟が適法と認められる場合に限られる。そこで、債務者が被保全債権の存否を争う場合、債権者が代位権を行使したとしても、債務者の当事者適格は失われないと解する。

イ これを本件についてみる。Bは、甲債権の不存在確認請求を行うことで、被保全債権の存否を争っている。

ウ したがって、Bは当事者適格を有する。

⑵ 次に、Bは、「訴訟の目的……が自己の権利であることを主張する第三者」といえるか。

ア この点について、上記要件は、参加人の請求が本訴請求と論理的に両立し得ない関係にある場合に認められると考える。

イ これを本件についてみる。AとBは、それぞれがCに対して500万円の請求をしており、双方の請求が同時に認容されることはないから、両請求は両立し得ない。

ウ したがって、Bは、「訴訟の目的……が自己の権利であることを主張する第三者」といえる。

⑶ また、独立当事者参加においては、併合審理が強制されるから、二重起訴禁止の趣旨が妥当せず、142条に反しない。

(4) よって、Bは権利主張参加ができる。

2 イについて

⑴ 訴訟1にかかる訴えについて

そもそも、訴訟1でAがBに代位してCに請求を行うことができるのは、Aが甲債権を有することを要件として、当事者適格が認められるからである。しかし、本件では甲債権が存在していないので、Aに当事者適格は認められない。したがって、裁判所は訴え却下の判決をすべきである。

⑵ Bの採った手段について

裁判所はBのAに対する請求とCに対する請求の両請求について、認容判決をすべきである。

第2 設問1⑵について

1 甲債権が存在していたと判断したとき

 ⑴ 訴訟1の判決が確定したことにより、確定判決に後訴における通用力たる既判力が生じる。かかる既判力がBに及ぶことにより、裁判所が乙債権は存在すると判断することができなくなるのではないか。

ア まず、既判力は当事者間に生じるのが原則である(115条1項1号)ところ、訴訟1の当事者はAとCであり、Bは当事者ではない。あ

イ 次に、債権者代位訴訟の場合、訴訟担当者により、代替的にではあるが、債務者の手続保障がなされているといえ、手続保障の充足に基づく自己責任という既判力の正当化根拠が妥当する。そこで、訴訟担当者が受けた判決の既判力は、利益帰属主体にも拡張される(同項2号)。そのため、訴訟1の既判力はBに対しても及ぶ。

ウ したがって、裁判所は乙債権が存在すると判断することはできない。

⑵ よって、訴訟2において、裁判所は請求棄却判決をすべきである。

2 甲債権が存在していなかったと判断したとき

甲債権が存在していなかったと判断された場合、Aの被保全債権が認められなかったことになる。そうすると、訴訟1においてAは当事者適格が認められず、訴訟担当者による代替的な手続保障という同号の趣旨が妥当しない。そのため、訴訟1の既判力はBに及ばない。したがって、裁判所はその心証に従い判決すべきである。

第3 設問2について

1 まず、Dは、自らへの弁済を求めて、訴訟1に権利主張参加をするという手段を採ることはできないか。

 ⑴ この点について、債権者代位訴訟が提起された場合に債務者に対して生じる処分禁止効は、債務者財産の現状凍結を目的とするものである。そこで、ある債権者が代位訴訟を提起したとしても他の債権者はなお別訴において代位できると解する。そうだとすれば、Aの請求とDの請求は論理的に両立しうるから、Dは、「訴訟の目的……が自己の権利であることを主張する第三者」に当たらない。

⑵ したがって、Dは、上記手段を採ることはできない。

2 次に、Dは、訴訟1に共同訴訟参加(52条)をするという手段を採ることはできないか。

⑴ この点について、訴訟担当者は訴訟物たる権利関係についての当事者適格を本人に代わって行使するものである以上、訴訟1でAの受ける既判力は債務者たるBに拡張され、その結果として他の債権者にもその効力は拡張される。したがって、Dは訴訟1の判決の効力を拡張される地位にある。

⑵ また、前述のようにDは債権者代位をすることができるから、当事者適格も認められる。

⑶ よって、Dは上記手段を採ることができる。

以上 

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